なんか可愛くてヘンなやつ!「ガンナー125」

【オーナーが解説】原付珍種、ガンナー125の徹底レビュー

2023年3月7日

イモコ。

これは「ガンナー125」という原付二種バイクです

懐中電灯みたいだね!!

シカ美

この記事でわかること

・タイの新興メーカーPHOENIX ENGINEERNGが作ったガンナー125の詳細情報

・同じ原付二種だけど、ガンナー100とは何が違うのか?

ガンナーシリーズは、微笑みの国"タイ王国"から上陸したナンダコレバイクで、排気量で50/100/125とシリーズ化されています

経緯は下記の通りですが、つい最近のお話なのです('23.3時点)

▼ '21春、ガンナー50を日本専用仕様として市場投入
▼ '21秋、ガンナー100を発表、'22春に市場投入(頭出しは日本とタイ)
▼ '22春、モーターサイクルショーでガンナー125を加えて、フルラインアップ展示
▼ ´22末から国内流通開始

このガンナー125の登場が、モーターサイクルショーの会場とネット上に大きな衝撃を与えました

'22春はHONDAのHAWK11DAX125、YAMAHAの新型XSR900等が目玉でしたが、それに匹敵するほどの注目を集めることになります

先行するガンナー50の存在すら知らなかった人が、会場でガンナーシリーズを目の当たりにすることができたことも大きかったでしょう。

・「経済的な原付二種をセカンドバイクに」というブーム
・原付二種×レジャーバイクの車種の選択肢が増えた
・モンキーやダックスに匹敵する可愛らしい独特なデザイン

この三拍子で、SNSを中心にその存在が拡散されることになります。

一方で、モーターサイクルショー以降は公式からも仕様の詳細が公開されず、国内導入の時期も不確定という状況が続きました

結果として、'22夏以降の話題は、DAX125に完全に独占されることになります
(HONDAだから注目度が高いということはありますが)

イモコ。

それではあまりに残念・・・!

なので、ただカワイイだけのバイクではないガンナー125と、その周辺情報をオーナー視点の忖度なしレビュー&解説していきます!

ガンナー100からの変更点

ガンナー100との違い

・横型エンジンから縦型エンジンになって存在感が増した
新設計フレームで一回り大きくなり、乗りやすくなった
燃料タンク容量が大きくなった
5速化されてスポーティな走りができるようになった

※公式カタログ値に現認した数値を追加
諸元ガンナー125ガンナー100
車両価格(税込)¥382,800¥316,800
シリンダーシステム4ストローク / SOHC / 2弁
縦型横型
空冷
圧縮比9.27.1
ボア径(mm)56.550
ストローク(mm)49.549.5
排気量(cc)12497.2
燃料供給方式※キャブレター(ベンチュリ径φ20)
点火装置※バッテリー式放電容量(CDI)
始動方式セルモーター始動+キック始動
最高出力N/AN/A
最大トルクN/AN/A
燃料タンク容量5.54.5
変速機5速4速
燃費(km/h)N/AN/A
チェーンサイズ※428420
ホイールベース(mm)1,2001,150
全長(mm)1,7701,670
シート高さ(mm)805(実測)802
車両重量(kg)10575
前ブレーキ油圧ディスク/片押し2ポッド
後ブレーキ油圧ディスク/片押し2ポッド
前タイヤサイズ100/90-12
後タイヤサイズ120/70-12

ガンナー125のヴィジュアルカタログ

外観をグルグル回って眺める動画です。

二度見を誘うダブルクレードルフレーム

総合的なフレーム剛性が高く、走行中はカッチリ!不快な振動はほとんど感じない

180kmほど走行したら給油するペース
・タンク形状が特殊なので、前後方向の傾斜に敏感

懐中電灯バズーカ砲を連想させるような印象的なデザインのダブルクレードルフレーム

燃料タンクがトップフレームの一部となっていることで、パイプ径を大きく確保できて剛性が高まってます

意外とスポーティな走りができるのも、この独特なフレームの恩恵でしょう

なお、見ての通りスリムなので、ニーグリップはほぼ不可能です
(車格的に必要ないですが)

燃料タンク容量は4.5L→5.5Lに拡大されています

これは他のライバル車と同等と思いがちですが、古い設計のエンジンなので燃費は悪く、最近の同クラスバイクの感覚でいうと実質3.0L相当だと思います

ブラックアウトされた124cc縦型エンジン

上までスムーズに回るよいエンジンで、高回転キープでのスロットルワークでパワーコントロールするのがすごく気持ち良い。

キャブのセッティングが合えばスムーズに回り、3~4速の高回転キープのスロットルワークだけで走るのは実に快感

・セル始動だけでなく、キックペダルでの始動も可能なのでバッテリー上がりを気にしなくてよい

ガンナー50/100とは趣が変わり、高回転型の124cc縦型エンジンを搭載しています

実はヤフオクなどで流れているような、いわゆる粗悪な中華製エンジンと呼ばれるものとは異なります

小排気量にしては腰上が大きいのが印象的で、クラッチカバー/ジェネレーターカバーにはPHOENIX ENGINEERINGのブランド刻印があるので、こだわりをもってカスタムされたエンジンであることは明らかです

イモコ。

エンジンへの不満は一切ないです

キック始動とセルモーター始動を両方搭載

セル始動とキックペダルの併載なので、バッテリー上がりを気にしなくてよい

スイッチボックスは機能上問題はないが、チープ感は否めない

前述しましたが、セルモーターによるエンジン始動も可能

こっちのほうが今はスタンダードですね

しかし、セル始動だけだと、バッテリーあがりの絶望感は半端ないので、キック始動の併載は非常に安心

また、4mini乗り(モンキー等の4ストロークミニバイク)にとっては、ボアアップするとセルモーターのパワー不足で始動できないことがあります

イモコ。

キック始動は正義!!

この辺りのユーザーニーズをPHOENIX ENGINEERINGはよく理解しています

スイッチボックスはチープと言わざるを得ない。左右で2,000円弱の部品。ケース肉厚が薄いのと、ガラス繊維含有が少なそうなので、紫外線劣化や加水分解による白濁化や割れといった経年劣化が心配。交換推奨。

SDGsに逆行する "キャブレター方式"

吸気ポートからの吹き返しで漂ってくるガソリン臭は、好きな人にはたまらない。SDGsに逆らう仕様ではある。
made in JAPANではなく、standard of JAPANという表記が面白い。キャブレターは精密部品なのでコピー品を作ることは困難。

キャブレター式の新車販売は、それだけで大きな付加価値

PD22はスクリュー調整が超やりにくい

燃費や排気ガス規制を背景に、2000年代でキャブレター式の新車は姿を消し、噴射と点火は電子制御化の一途

触媒も搭載されて手軽なカスタム自由度が狭まってしまいました

KEIHINのロゴ、standard of JAPAN、PZ26の刻印が見えます

決して中華製のコピー品ではなく、かつての株式会社ケーヒン(現・日立Astemo株式会社)※の中国拠点である「南京京濱化油器有限公司(現・日立安斯泰莫動力系統(南京)有限公司)」が製造したもので、国内型番でいうとPD22になります

※'21に日立オートモーティブシステムに吸収合併して解散、現在は日立Astemo株式会社。キャブレターはKEIHINブランドとして存続、製造

PD22はストライクゾーンが広く扱いやすいキャブですが、逆にスィートスポットセッティングでエンジンのポテンシャルを最大限に引き出すことが難しいのがデメリットです

124㏄くらいだと、ヘッドの吸気ポート径にもよりますが、経験上MIKUNI製のVM26がパワフルな選択だと思います(燃費は更に悪化)

重低音が強調されたダウンマフラー

うるさすぎず適度な重低音で存在感がある

スリップオンタイプではないので、お手軽にカスタムできない

ガンナー50/100では存在感を消していたマフラーが、ガンナー125ではステンレス製ダウンマフラーとして存在をアピールしてきました

サイレンサーの出口径は小さめなので決して抜けがよいとはいえず、音量は控えめですが、純粋な鼓動を感じられるので意外と気持ちが良いです

実際のサウンドは下記の動画リンクからご視聴いただけます

残念なのは、サイレンサーと排気管が一体なので、スリップオンでサイレンサーだけを交換するお手軽カスタムができません

そうなるとフルエキでの交換が必須ですが、どんな車両のマフラーが流用できるのか?

結論をいうと、ポン付けにこだわるなら、流用できる他車種用のマフラーはありませんが、エイプ用のマフラーのフランジを加工すれば取付は可能です

アンブレラ社のメタルエンブレムを貼ってみました。T-ウィルスを撒き散らします。
ヘッドホン、イヤホンでの視聴を推奨。

まさに「懐中電灯」、眩いLEDヘッドライトユニット

この画像だけ切り取ると、まさに「懐中電灯」

田舎道でも安心、明るいLEDヘッドライトユニット!

LEDヘッドライトユニットはイカリング付で、かなり明るく、まさに「懐中電灯」と呼ぶに相応しいでしょう。

日本の道路交通法ではバイクはライト常灯が義務なので、タイ製とはいえOFFにはできませんが、何故かイカリングだけを点灯させるモードがあります

どこで使うのでしょう・・・撮影用?

3,000円弱の部品です

片押し2ポッドのディスクブレーキでクイックな制動

とにかくよく効く前後ブレーキ!

最近では原付でも片押し2ポッドが主流なんですね

私が学生時代に乗っていた2000年前後のMAGNA FIFTYは1ポッドでした(全く効かないブレーキでした)

このキャリパー前後ともに2,700円弱の部品です

ABS装備ではないけど、液圧式CBS(Combined Braking System;前後輪連動ブレーキシステム)が装備されてます※。

'18年10月1日から "道路運送車両の保安基準" の改正で、新車販売される51cc〜125ccまでのバイクには、CBSまたはABSの装着が義務になっています。

キャリパーはアキシャルマウントだが、車両重量を考えると十分。

ガンナー50/100と共通装備ではあるが、CBS(またはABS)の装備が義務付けられているのは日本国内での話であって、タイでは義務付けられていません

にも関わらず、わざわざCBSを搭載していることは、ガンナー50が日本市場に向けて開発されたという裏付けにもなっていますね

CBSのエア抜きはやったことがないので、今のところ作業要領や注意点は分かりません

今後キャリパー交換やブレーキホース交換をしていくので、そのときに勉強しながら作業していく記事を書いていきます

イモコ。

ステンメッシュホースにしたいです!

モノショックでスッキリ

軽快なスタイリングのモノショック

・沈み量が大きく、リアフェンダーがステーに干渉
・バネ力のイニシャルを調整したくても滑って回らない

リアショックは1本で車体軽量化と軽快スタイリングを両立

ガンナー100と同じ部品で、さほど悪い部品を使ってる感じはしません

3,300円弱の部品です

GROMの部品が流用できそうですが、デイトナ製だと座っただけで底突きするとの情報もあります

大きな段差を乗り越えるときに底突き(というかリアフェンダーがリアの部品に干渉)するので、バネレートはもう少し硬めでもよいと思います

乗り心地とのトレードオフなのでバネレート15%UPで、車高を10mmほど上げればマシになる・・・かもしれません

片持ちナンバープレートホルダーでコンパクトなリアビュー

・リアタイヤの存在を強調できる片持ちリアフェンダー
・強度は十分、振動でブルブルなることもない

ナンバーホルダがステーに溶接されてるのでカスタムしにくい

DucatiのDiavelが起源とも云われますが、リア周りをスッキリ見せつつ、リアタイヤの存在感をアピールするカスタムの常套手段です

好みは分かれますがガンナーシリーズには似合ってると思います

ステー強度は十分、走行中に振動でブレることもなく安心感はあります

ライセンス灯と反射板の大きさがスッキリさを台無しにしてるので、もう少しスッキリさせるカスタムしていきますが、ナンバープレートホルダーがステーに溶接されているので、カスタムする際は少し面倒です。

アップライトなハンドルでナチュラルなライディング姿勢

アップライトなハンドルポジションで自然な姿勢で乗れる

ハンドルパイプは肉薄で、塗装がチープなのですぐ錆びそう

ハンドル径は7/8インチ(22.2mm)で、跨って腕を伸ばしたときに自然なポジションになる高さです

私は身長が178cmで、少しハンドルが近く感じたので40mmほど奥に倒して調整してます。

ハンドルパイプ肉厚も塗装も薄めでチープ感ありつつ、錆びが浮いてきそうな予感...

視認性のよい多機能表示メーター

視認性とデザインはシンプルでGOOD

メーターは安価な汎用品で、精度がダメ(動画参照)

実は、'22春のモーターサイクルショー(東京/大阪/名古屋)や試乗インプレ記事のデモ車とはメーターの仕様が異なります

アナログのタコメーターだったものが、デジタル化されたメーターデザインになっています

メーターはAmazon等でも売ってる汎用品なので、製造時期によっては仕様が異なる可能性があります

問題なのはこの中華製メーターの品質で、上記の動画を観ていただくと分かりますが40km/hを超えたあたりから速度表示がバタついて、実際の速度よりも+20%速く表示されます

製品のバラツキなので全ての個体でこういう現象になるわけではないとは思います

なお、Amazonで確認する限り、凡そ3,500円くらいの部品です。

ロケットの噴射口を思わせるテールランプデザイン

シンプルながらも個性的なスタイリングを演出

白LED×赤樹脂レンズなので灯火したときのLED感が全くない

フロントの懐中電灯っぷりもさることながら、テール/ストップランプ周辺のデザインもウィンカーも合わせて丸で統一されており、レトロポップな印象です。なお、テール/ストップランプはLEDバルブ、ウィンカーはハロゲン球になってます。

ガンナー50の初期型は走行中にテールレンズが脱落する等の作りの甘さがありましたが、すぐに改良されました。

マイルド三角木馬シート

・三角木馬よろしく、SMに目覚めそうな痛み
・外しにくく、メンテナンス性が悪すぎる

とにかく細くて、硬くて、ロングライドには不向きと言わざるを得ないです。三角木馬ってこんな感じなんだー、という貴重な体験ができます

イモコ。

最近慣れてきました・・・
※目覚めた?

食パンみたいなカラーでフカフカのタックロールシートを製作してロングライドできる仕様にカスタムしていきます

筒の上に跨る拷問はまるで「マイルド三角木馬」そのもの

シートは裏側から4か所でボルト固定されており、メンテナンス性は良くないです。

・・・が、シートを外しても燃料ゲージと電源ヒューズだけしかないので、頻繁に脱着する必要がないことを考えると、この仕様でいいのかもしれません

イモコ。

割り切った設計になってます

謎のシルバーの筒はエアクリーナーボックスと小物入れ

左型(小物入れ)は一度取り外したら二度と元に戻せないメンテナンス性の悪さ

右側(エアクリーナーボックス)は吸気口面積があまりに狭すぎて吸気抵抗大きくエンジンパワーが頭打ち

左側後方のシルバーの筒は鍵付きの小物入れ、兼電装部品ボックスになっています。・・・が、建付けが悪いので、一度取り外してしまうと完全には元に戻すことができないトンデモ設計

ちょっとした工具や自賠責保険書類を入れておくのにちょうどいい場所ではありますが・・・使わない

右側にも同じようなシルバーの筒がありますが、エアクリーナーボックスです

吸入口面積が狭小すぎて全開で空気が十分に入らず、出力が頭打ちになったので、撤去してパワーフィルターを取り付けています

まとめ

ガンナー125はこんなバイク!

・市街地、林道、海沿いなど、場所を問わず写真映えするカワイイやつ
・新設フレームはガンナー50/100よりも一回り大きく乗りやすいバランス
・トルク寄りの横型エンジンから、高回転寄りの縦型エンジンでスポーティなエンジンフィール
カスタム余地が十分に用意されており、ワクワクする特別な1台

イモコ。

フレーム以外は案外シンプルなバイクで
トータルバランスとして面白い1台です!

では、素敵なバイクライフを!!

りす夫
  • この記事を書いた人
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イモコ。

某自動車メーカーでエンジン開発業務に17年、現在は新事業の企画に従事。仕事柄、移動するモノ/コト、特にバイク大好き
2020年から400冊のビジネス本を読破してマインドチェンジしてきました。マネジメントスクールで講師として立つことも
部品をかき集めてバイクを作ったり、いろんなジャンルのバイクに乗り継いできました。
オリジナルデザインでステッカーやアパレルも作ってます。
webライターしながらタイに移住して起業するのが夢です

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